ここ2ヶ月の間のFUGOの更新情報をまとめてお知らせします。
自動アップデート(「動作安定版のみ配信」)を有効にされているユーザーの方には、本日(2019/3/31)よりVer.2019.3.8.0が配信されます。
今回のアップデートでは、7つの新規機能の追加、10の機能改良、8つの不具合修正を行っております。
【概要】
- 英文明細書のチェック機能の追加・改善
- プラグインの機能追加・改善
- クレームにおける「前記」の記載チェックの操作性改善
- その他、一部処理の精度改善、高速化など
- 特定のケースで発生していた不具合の修正
目次
FUGOのバージョンアップ内容
新たな機能の追加
英文明細書:クレームにおける先行詞(the, said)の記載チェック機能
英文明細書のクレームにおける先行詞(the, said; 日本語明細書における「前記」に相当)の記載ミスをチェックする機能を追加いたしました。
内容を確認したい項目を選択すると、画面左側に該当するクレーム(従属クレーム)をハイライト付きで表示します。
なお、ハイライトは
- 先行詞のついていない要件は黄色
- 先行詞のついた要件を青色
で色分けしています。
英文明細書のクレームにおいても、日本語明細書の場合と同様に、「一時的に任意の要件をチェック対象から除外する機能」 を利用可能です。
英文明細書:サポート要件のチェック
クレームに含まれる単語で、明細書の本文中に記載されていない単語をリストアップする機能を追加しました。米国特許法112条の記述要件(written description requirement)違反に繋がる可能性があるものをピックアップします。
プラグイン「数と単位のリスト」
新たに、明細書中に記載された数量を示す数値と、記載された単位と、をリストアップする機能を追加しました。
この機能は、画面上部「プラグイン」→「数と単位のリスト」から呼び出せます。
化学系の明細書における誤記の発見にお役立てください。
このプラグインは、以下の2つの表示モードを備えています。
- 「単位のみ表示」
- 明細書中に記載された単位表記をリストアップします。
- 「数と単位の記載をすべて表示」
- 明細書中に記載された数値と単位の組み合わせをリストアップします。
各アイテムをクリックすることで、FUGOの画面左側に、該当箇所がハイライト付きで表示されます。実際に、数や単位が記載された段落の記載を見て、誤記かどうかを確認いただけます。
プラグイン「カタカナ用語の修飾語のチェック」機能
化合物名などのカタカナ用語にかかる修飾語句をチェックするための機能を追加しました。
この機能は、画面上部「プラグイン」→「カタカナ用語の修飾語のチェック」から呼び出せます。
化学系の明細書における誤記や表記のゆらぎの発見にお役立てください。
カタカナ用語にかかる修飾語が異なる単語が、上下に並ぶように表示されます。上下を見比べることで、表記が揺らいでいる場合や、記載ミスを発見しやすくしています。また、参考情報として明細書中の出現頻度を用語の右側に表示しています。
各アイテムをクリックすることで、FUGOの画面左側に、該当箇所がハイライト付きで表示されます。実際に、用語が記載された段落の記載を見て、誤記かどうかを確認いただけます。
登録商標をチェックする機能
一般的に明細書で使用されている頻度の高い登録商標に関して、明細書内で「(登録商標)」と記載 されていない場合に、「誤字・脱字」タブ内の「誤記など」に、警告表示する機能を追加しました。
クリックすると、画面左側に、該当箇所(「(登録商標)」と記載されていない箇所)を含む段落が、該当箇所をハイライトされた状態で表示されます。
符号表のコピー(出力)機能の改良
デフォルトの設定では、符号表をコピーした際、以下のように、符号が縦に並ぶ形式でコピーされます。
1 :カウント値 10 :液晶表示パネル 11 :光源 12A :光源ブロック
今回のアップデートで、以下のように、横に並ぶ形式でコピーが可能となりました。
1:カウント値、10:液晶表示パネル、11:光源、12A:光源ブロック
<符号表を横書きしたい場合の設定方法>
FUGO画面上部の「ツール」→「設定」(もしくは、下記ボタン)をクリックし、
設定画面で、「符号表」を選択し、「出力形式」の設定項目のうち
符号を改行で区切らないに、チェックを入れてください。
その下の「改行の代わり」の項目には、符号と、符号との区切り文字(下記例における、1と10の区切り文字。この例の場合は「、」)を指定できます。
1:カウント値、10:液晶表示パネル、11:光源
なお、符号と符号の名称との区切り文字(下記例における「…」)は、従来どおり、上図の箇所で設定してください。
1…カウント値、10…液晶表示パネル、11…光源、
<「符号表をコピー」ボタンの振る舞い(仕様)変更>
従来、
- 「符号表をコピー」ボタンをクリックすると、画面上の表示に従って赤色、青色表示箇所に記号(●や▲)をつけてコピー
- 「符号表をコピー」ボタン横の「▼」をクリックすると、【符号の説明】を作成するさいなどに便利な形式などでのコピー機能をメニュー表示
としていましたが、今回のアップデートで
- 「符号表をコピー」ボタンと「▼」のどちらをクリックした場合でも、「符号表をコピー」するための機能をメニュー表示する
仕様に改めました。
メニューに含まれる「クレームに含まれていない符号に印をつけてコピー」機能を用いることで、クレームに含まれている符号のみをまとめた【符号の説明】を手軽に作成することができます。
詳細は、マニュアル(【符号の説明】の半自動作成) をご参照ください。
従属項の発明のカテゴリチェック
請求項(以下、クレーム)のクレーム末尾の記載が、従属クレームの末尾の記載と異なっている場合に、注意喚起(青色表示)する機能を追加しました。
改善
「前記」の記載チェックをより手軽に
一時的に任意の要件を「前記」のチェック対象から除外した時に、自動的に再チェックを行うようにしました。
Ver.2019.1.28.0で新たに追加した機能「一時的に任意の要件をチェック対象から除外する機能」 を使いやすくしました。
クレームにおいて「前記」の記載をチェックするにあたり、チェックする必要のない単語(要件)を一時的*1にチェック対象外とできます。今回のアップデートで、右クリックメニューから要件をチェック対象外とすると、指定された要件をチェック対象外とした状態で、自動的に再チェックを行うようにしました。
また、このとき、「クレーム」タブを前面に表示します。( 任意のタブを最前面表示する機能でクレームタブを最前面表示する状態に設定します。)これにより、除外条件を追加後の前記の記載のチェック結果を、即座に確認できます。
<使い方>
クレームの前記の記載チェック結果を確認する際、チェックする必要のない単語(要件)を右クリックして「xxxを一時チェック除外対象に」を選択してください。
FUGOを1度終了すると、再度、全ての単語(要件)がチェックの対象となります。
<チェック精度の実質的向上と、見かけ上の精度低下に関して>
Ver.2019.1.28.0でのアップデートより、クレームにおける前記の記載チェックのアルゴリズムを改善いたしました。
従来は、「前記」が一度も記載されていない要件はチェック対象となりませんでしたが、今回から、クレーム中で「前記」が一度も記載されていない要件(例えば、クレーム中で完全に前記を記載し忘れてしまっているような要件)もチェックできるようになりました。
例えば、以下のような場合に
【請求項1】
第1部材と、第2部材と、コントローラと、を備えた装置において、 コントローラは、前記第1部材の動作に基づき第2部材を制御する ことを特徴とする装置。
第2部材やコントローラに対して「前置詞抜け?」というエラーが表示されます。
このアップデートにより、従来に比べ、より多くのエラーを検出できるようになった一方で、従来にはなかった、前記の記載対象外の単語(前記を記載する必要のない単語)が誤ってエラーとして検出される(誤検出される)ようになっております。
できる限り、誤検出が起きないように改善を続ける予定ですが、完全に誤検出を抑えることは難しいため、誤検出が含まれていた場合は、当該要件(単語)については、上記の任意の要件を「前記」のチェック対象から除外機能を用いて除外頂ますようよろしくお願いいたします。
特許請求の範囲(クレーム)における「前記」チェックの精度改善
内部処理の調整によりチェック精度を改善しました。
英文明細書:より多くの従属関係の記載に対応
マルチ従属クレームの記載方法に関して、より多くのフォーマットに対応いたしました。
※ うまく従属関係が判定されない場合は、一度お問い合わせください。サンプルを頂けますと対応が可能です。
英文明細書:より多様なフォーマットに対応
明細書本文やクレームの記載方法に関して、より多くのフォーマットに対応いたしました。
※ うまくチェックが実行されない場合は、一度お問い合わせください。サンプルを頂けますと対応が可能です。
サポート要件チェックの精度改善
内部処理の調整により、クレーム中の要件の判定精度を改善しました。
クレームの従属関係のチェック結果(修正すべき内容)をわかりやすく
色(赤色もしくは青色)がついた項目をクリックした際に、FUGOがエラーと判断した内容を明記するようにしました。
画面左側の上部に、赤文字で、修正が必要な理由、もしくは記載の確認と場合によっては修正が必要な理由が表示されます。
【エラー一覧】に表示されるマークについて
それぞれ以下の意味を示しています。
- ⒤
- 参考情報を示します。
- ✅
- 修正が必要な可能性がある事項を示します。実際に修正が必要かはケースバイケースのため、内容の確認を推奨いたします。
- ⚠
- 高い確率で、修正が必要な事項を示します。FUGOの誤判定の可能性もわずかながら含まれます。
- ❌
- 確実に、修正が必要な事項を示します。
プラグイン「一括置換」機能の操作性を改善
プラグイン「一括置換」は、明細書の実施形態を、ミスなく素早く記載するための機能です。
本プラグインをつかうと、実施形態中で、「★」などの記号+符号(例えば、「螺旋状ネジ11」を「★11」)と記載した箇所を、まとめて本来の名称に置きかえることができます。実施形態において、符号の名称を「★」などの記号に置き換えて入力することで、名称のタイプミスをふせぐとともに、タイピング量を大幅に削減することができます。
詳細は、プラグイン「一括置換」の使い方をご参照ください。
以下、本バージョンアップでの改良点となります。
一括置換時の操作ミスを防ぐためのUI改善
一括置換時に符号部分の打ち間違いを防ぐため、「置換後の名称」のみを確認・入力できるようになりました。置換後の符号には、置換対象(置換前)のものがそのまま適用されます。
編集作業が必要な箇所の明示
画面右側「コメント」欄に、編集する必要が旨を表示します。
置換後の名称として、複数の候補がある場合に対応
複数の候補がある場合、置換後の名称に候補が列挙されます。複数候補が表示された状態では、置換は実行できません。ダブルクリックで編集(名称候補から不要なものを削除)してください。
「置換後の名称」の編集をお手軽に
名称の記載箇所をダブルクリックすることで、そのまま編集することができます。
一括置換の誤実行の防止機能
「置換後の名称」に複数の候補が列挙されたままの欄が存在する場合や、空欄が存在する場合には、一括置換を実行できないようにしました。
不具合発生時のレポート画面を改善
想定外のエラーが発生した場合に表示される不具合レポートの送信画面をリニューアルしました。
今回、ご連絡先の記入欄を追加いたしました。備考欄と同様、入力は任意となります。
不具合レポート(エラーレポート)は、匿名で送信されます。ご連絡先をご記入いただけますと、弊社からのアップデートのご連絡や、原因の解明のための詳細な確認が可能となります。
クレームにおける「NGワードチェック」処理の高速化
内部処理を見直し、チェック速度を改善いたしました。
<NGワードチェックの利用方法>
「NGワードリストの編集」ボタンをクリックすると、NGワードを登録するための(辞書エディタ)画面が表示されます。
1行につき、NGワードとみなしたい1単語を記載してください。
「OK」ボタンをクリックすると、NGワードが登録されます。
以降、FUGOのチェックを行うとクレームにおいて登録されたNGワードが存在する場合、NGワードチェック画面に当該NGワードがリストアップされます。リストアップされたNGワードをクリックすると、クレーム中の該当箇所がハイライトされて表示されます。
不具合の修正
オフライン状態での「ライセンスの解除」処理に関する不具合の修正
ファイアウォールによりライセンスサーバとの通信が遮断されている状態や、オフライン状態で「ライセンスの解除」を実行した場合に、エラー画面が表示される不具合を修正しました。
バグレポート画面で備考欄入力時、Enterキーを押すと送信されてしまう不具合の修正
FUGOの不具合発生時、バグレポート画面で備考欄の入力途中で、Enterキーを押すと送信されてしまう不具合を修正しました。
Free版において、常に最新のアップデートが適用されるように
アップデートがある場合、強制的に最新版をダウンロードする仕様に改めました。
日本語明細書:解決手段が実施形態より後ろに記載されている場合、エラーが発生する不具合の修正
解決手段が実施形態より後ろに記載されている場合でも、問題なく各種チェックできるように内部処理を改善いたしました。
各種例外ケースへの対応
例外ケースで、エラーが発生する問題を解消しました。
英文明細書:クレーム番号が飛び番の場合に対応
クレーム番号が飛び番になっている(欠番が存在する)場合に、クレームチェック中にエラーが発生する不具合を修正しました。
このようなケースは、例えば、出願後の補正により一部のクレームを削除した場合が相当します。
また、この不具合修正に合わせて、存在しないクレーム(欠番のクレーム)に従属しているクレームがある場合には、警告を表示するようにしました。
※ 従属関係の記載に不備があった場合(例:存在しないクレームに従属するクレームがある場合)には、クレーム一覧表の「従属関係」は「判定不能」と表示されます。記載不備が解消されると、「独立」(=独立クレームの意)、「Multi」(=マルチクレームの意)、「Multi-Multi」(=マルチマルチクレームの意)などが表示されます。
指定された辞書ファイルの読み取り権限がない場合にエラーが発生する不具合の修正
「FUGO 動作設定」で指定された辞書ファイル(例えば、「符号表」の「符号の名称とみなす単語リスト」)の場所が、アクセスできないフォルダである場合に、エラーが発生していた不具合を修正しました。
辞書ファイルへのアクセス権限がない(読み取りができない)場合には、チェック実行前にあらかじめ、その旨を警告するようにいたしました。
<警告表示が出た場合の対処法>
この場合、FUGOの設定を開き、辞書ファイルの場所を変更してください。(辞書ファイルの場所を示すテキストボックス右横の「...」をクリックすると、辞書ファイルの場所を変更できます。)
クレームタブ:NGワードチェックボタン、クレームツリー表示ボタンの表示位置の修正
環境によって、クレーム中の「NGワードチェック」機能を呼び出すボタン、「クレームツリー」を表示するボタンが、画面からはみ出る不具合を修正いたしました。
FUGO.rewrite のバージョンアップ内容
不具合の修正
スマート一括置換が実行されない不具合の修正
スマート一括置換の実行時、置換対象の文字の前後に、Wordのワイルドカードに用いられる特殊文字(@, (など))が含まれる場合にエラーが発生する不具合を修正しました。
ダウンロード
自動的に配信されます。
手動でアップデートする場合、下記FUGO ダウンロードページよりお願い致します。
FUGO.rewriteは、下記よりダウンロードをお願い致します。(通常、自動的にアップデートされます)
FAQ
ライセンスキー方式でのライセンス認証(2018.11以降)に関して
2018.11月より、従来のFUGO IDを用いたライセンス認証に変えて、「ライセンスキー」を用いてライセンスを認証するように変更いたしました。
大きな変更点は以下のとおりです。
- ライセンス認証に「ライセンスキー」(いわゆるプロダクトキー)を用いるように
- 2018.11以前と異なり、ライセンス購入時に、FUGO IDをご連絡いただく必要がなくなりました。
- ライセンスの更新・追加購入が、ポータルサイト(WEB)から可能に
- 請求書・領収書の発行が、ポータルサイト(WEB)から可能に
- FUGOのマニュアルや更新情報などユーザーの方にとって必要な情報を、ポータルサイト(WEB)に集約
お手数おかけしたしますが、詳細は、下記記事をご確認ください。
1人のユーザーの方が、複数PCを利用される場合の利用方法
1人のFUGOユーザーの方が、複数のPC(例えば、デスクトップPCとノートPCの2台)でFUGOを利用される場合、
各PCで
「FUGO 動作設定」→「ユーザー補助」→画面下部 の「ライセンスに関する設定」から
『□ FUGO終了時に、自動的にライセンスの解除を行う』
にチェックを入れてください。
この設定項目がチェックされていると、FUGO終了時に、当該PCからライセンスが解除され、ライセンスキーの認証可能台数が+1されます(別のPCでライセンス認証が可能となります)。
各PCでのFUGO起動時には、ライセンス認証画面が表示されます。ご利用中のライセンスキーが入力されたままとなりますので、「次へ」→「ライセンス認証実行」と進めてください。
※ 1ライセンス=1ユーザ様となります。複数台での同時利用はできませんが、1ライセンスでのご利用台数に制限はございません。
一部の環境でFUGOの画面表示がおかしくなる不具合の対処法
高解像度のディスプレイをご利用の場合(Windowsのスケーリング設定が100%以外の場合)に、FUGOの画面表示がおかしくなる問題*2の対処法を公開しています。
詳細は以下リンクをご参照ください。
その他ライセンス認証、購入に関するFAQ
ライセンスに関してよくあるご質問と回答を、下記記事にまとめております。ご参照ください。