アップデート内容が多くたまってきたため、2月上旬の間のFUGOの更新情報をまとめてお知らせします。
今回のアップデートでは、大きく分けて
- 英文明細書のチェック機能の追加・改善
- 化学系の明細書における誤記を見つけやすくする機能の追加
- 使用頻度の高い登録商標利用時の警告機能の改善
- クレームにおける「前記」の記載チェックの操作性改善
を行っております。
自動アップデート(「動作安定版のみ配信」)を有効にされているユーザーの方には、本日(2019/2/18)よりVer.2019.2.14.1が配信されます。 (現在2019.2.21、本バージョンの配信を停止しております。)
FUGOのバージョンアップ内容
新たな機能の追加
英文明細書:クレームにおける先行詞(the, said)の記載チェック機能
英文明細書のクレームにおける先行詞(the, said; 日本語明細書における「前記」に相当)の記載ミスをチェックする機能を追加いたしました。
内容を確認したい項目を選択すると、画面左側に該当するクレーム(従属クレーム)をハイライト付きで表示します。
なお、ハイライトは
- 先行詞のついていない要件は黄色
- 先行詞のついた要件を青色
で色分けしています。
英文明細書のクレームにおいても、日本語明細書の場合と同様に、「一時的に任意の要件をチェック対象から除外する機能」 を利用可能です。
英文明細書:サポート要件のチェック
クレームに含まれる単語で、明細書の本文中に記載されていない単語をリストアップする機能を追加しました。米国特許法112条の記述要件(written description requirement)違反に繋がる可能性があるものをピックアップします。
プラグイン「数と単位のリスト」
新たに、明細書中に記載された数量を示す数値と、記載された単位と、をリストアップする機能を追加しました。
この機能は、画面上部「プラグイン」→「数と単位のリスト」から呼び出せます。
化学系の明細書における誤記の発見にお役立てください。
このプラグインは、以下の2つの表示モードを備えています。
- 「単位のみ表示」
- 明細書中に記載された単位表記をリストアップします。
- 「数と単位の記載をすべて表示」
- 明細書中に記載された数値と単位の組み合わせをリストアップします。
各アイテムをクリックすることで、FUGOの画面左側に、該当箇所がハイライト付きで表示されます。実際に、数や単位が記載された段落の記載を見て、誤記かどうかを確認いただけます。
プラグイン「カタカナ用語の修飾語のチェック」機能
化合物名などのカタカナ用語にかかる修飾語句をチェックするための機能を追加しました。
この機能は、画面上部「プラグイン」→「カタカナ用語の修飾語のチェック」から呼び出せます。
化学系の明細書における誤記や表記のゆらぎの発見にお役立てください。
カタカナ用語にかかる修飾語が異なる単語が、上下に並ぶように表示されます。上下を見比べることで、表記が揺らいでいる場合や、記載ミスを発見しやすくしています。また、参考情報として明細書中の出現頻度を用語の右側に表示しています。
各アイテムをクリックすることで、FUGOの画面左側に、該当箇所がハイライト付きで表示されます。実際に、用語が記載された段落の記載を見て、誤記かどうかを確認いただけます。
登録商標をチェックする機能
一般的に明細書で使用されている頻度の高い登録商標に関して、明細書内で「(登録商標)」と記載 されていない場合に、「誤字・脱字」タブ内の「誤記など」に、警告表示する機能を追加しました。
クリックすると、画面左側に、該当箇所(「(登録商標)」と記載されていない箇所)を含む段落が、該当箇所をハイライトされた状態で表示されます。
改善
「前記」の記載チェックをより手軽に
一時的に任意の要件を「前記」のチェック対象から除外した時に、自動的に再チェックを行うようにしました。
Ver.2019.1.28.0で新たに追加した機能「一時的に任意の要件をチェック対象から除外する機能」 を使いやすくしました。
クレームにおいて「前記」の記載をチェックするにあたり、チェックする必要のない単語(要件)を一時的*1にチェック対象外とできます。今回のアップデートで、右クリックメニューから要件をチェック対象外とすると、指定された要件をチェック対象外とした状態で、自動的に再チェックを行うようにしました。
また、このとき、「クレーム」タブを前面に表示します。( 任意のタブを最前面表示する機能でクレームタブを最前面表示する状態に設定します。)これにより、除外条件を追加後の前記の記載のチェック結果を、即座に確認できます。
<使い方>
クレームの前記の記載チェック結果を確認する際、チェックする必要のない単語(要件)を右クリックして「xxxを一時チェック除外対象に」を選択してください。
FUGOを1度終了すると、再度、全ての単語(要件)がチェックの対象となります。
<チェック精度の実質的向上と、見かけ上の精度低下に関して>
Ver.2019.1.28.0でのアップデートより、クレームにおける前記の記載チェックのアルゴリズムを改善いたしました。
従来は、「前記」が一度も記載されていない要件はチェック対象となりませんでしたが、今回から、クレーム中で「前記」が一度も記載されていない要件(例えば、クレーム中で完全に前記を記載し忘れてしまっているような要件)もチェックできるようになりました。
例えば、以下のような場合に
【請求項1】
第1部材と、第2部材と、コントローラと、を備えた装置において、 コントローラは、前記第1部材の動作に基づき第2部材を制御する ことを特徴とする装置。
第2部材やコントローラに対して「前置詞抜け?」というエラーが表示されます。
このアップデートにより、従来に比べ、より多くのエラーを検出できるようになった一方で、従来にはなかった、前記の記載対象外の単語(前記を記載する必要のない単語)が誤ってエラーとして検出される(誤検出される)ようになっております。
できる限り、誤検出が起きないように改善を続ける予定ですが、完全に誤検出を抑えることは難しいため、誤検出が含まれていた場合は、当該要件(単語)については、上記の任意の要件を「前記」のチェック対象から除外機能を用いて除外頂ますようよろしくお願いいたします。
英文明細書:より多くの従属関係の記載に対応
マルチ従属クレームの記載方法に関して、より多くのフォーマットに対応いたしました。
※ うまく従属関係が判定されない場合は、一度お問い合わせください。サンプルを頂けますと対応が可能です。
英文明細書:より多様なフォーマットに対応
明細書本文やクレームの記載方法に関して、より多くのフォーマットに対応いたしました。
※ うまくチェックが実行されない場合は、一度お問い合わせください。サンプルを頂けますと対応が可能です。
特許請求の範囲(クレーム)における「前記」チェックの精度改善
内部処理の調整によりチェック精度を改善しました。
サポート要件チェックの精度改善
内部処理の調整により、クレーム中の要件の判定精度を改善しました。
不具合の修正
オフライン状態での「ライセンスの解除」処理に関する不具合の修正
ファイアウォールによりライセンスサーバとの通信が遮断されている状態や、オフライン状態で「ライセンスの解除」を実行した場合に、エラー画面が表示される不具合を修正しました。
バグレポート画面で備考欄入力時、Enterキーを押すと送信されてしまう不具合の修正
FUGOの不具合発生時、バグレポート画面で備考欄の入力途中で、Enterキーを押すと送信されてしまう不具合を修正しました。
Free版において、常に最新のアップデートが適用されるように
アップデートがある場合、強制的に最新版をダウンロードする仕様に改めました。
日本語明細書:解決手段が実施形態より後ろに記載されている場合、エラーが発生する不具合の修正
解決手段が実施形態より後ろに記載されている場合でも、問題なく各種チェックできるように内部処理を改善いたしました。
ダウンロード
「設定」→「アップデート」で「●常に最新版の情報を配信」を選択している場合、自動的に配信されます。
手動でアップデートする場合、下記FUGO ダウンロードページよりお願い致します。
FUGO.rewriteは、下記よりダウンロードをお願い致します。
FAQ
ライセンスキー方式でのライセンス認証に関して
2018.11月より、従来のFUGO IDを用いたライセンス認証に変えて、「ライセンスキー」を用いてライセンスを認証するように変更いたしました。
詳細は、下記記事をご確認ください。
一部の環境でFUGOの画面表示がおかしくなる不具合の対処法
一部の環境でFUGOの画面表示がおかしくなる(画面が部分部分で文字サイズが大きかったり小さかったりとまちまちになる)問題の対処法を公開しています。 詳細は以下リンクをご参照ください。
*1:FUGOを終了するまでの間